柳田国男の『海南小記』

『雪国の春』と並んで柳田国男の名紀行文として
知られている『海南小記』。
これは、南九州・沖縄へ旅したときの紀行文だ。

海南小記 (1956年) (角川文庫)海南小記 (1956年) (角川文庫)
(1956/06/10)
柳田 国男

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その序文では、異国地から来て、
日本の民族について深く研究した
チェンバレン教授について書かれている。
すでに第一線から退いたチャンバレンは
ジュネーブで静かに隠居生活を送っていたのだが、
柳田もまたジュネーブに出張中であった。
本書が「ジュネヴの冬は寂しかった」と
始まるのはそのためだ。

この序文は、静かな筆致ながらも、
著者の並々ならぬ意欲を感じさせるものになっている。
自分も本を書くときは、序文に心を砕くが、
変に力が入ってしまうときもあり、なかなか難しいのだ。
 
柳田は自分の今回の執筆について、
序文でこんなふうに表現している。
 
 
「事業は微小なりといえども、
やがて咲き香う(におう)べきものの蕾(つぼみ)である。
歌い舞うべきものの卵である」

 
 
本を書き記す、ということは、
どんなジャンルにおいてもこのような意気で
行われるべきではなかろうか。
良い文章には、いつでも普遍的なメッセージが
潜んでいる。




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プロフィール

Author:真山知幸
編集者、ライター。著書に『不安な心をしずめる名言』(PHP研究所)。ブルータスや日刊ゲンダイなどで執筆活動中。名言カレンダーの監修など、書籍・雑誌以外のフィールドでも活動し、名古屋外国語大学の現代国際学特殊講義では、名言の成り立ちをテーマに講演を実施。
【メール】
mayama.tomoyuki(at)gmail.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい

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