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官僚はただ家に帰りたかっただけ!?『家庭の幸福』(太宰治)

なぜこの事実をマスコミは報道しないんだっ!!

……という憤りをネット上で読むことがあるが、それは単に「多くの読者に関心がないから」「視聴率がとれないから」だったりするのだけど、どうも陰謀論に持ち込みたがる人が多いようだ。マスコミを「マスゴミ」といい嘲る人のほうが、よりマスコミ情報に一喜一憂しがちな気がしてならない。

何かとマスコミ批判する人もいれば、何かと官僚批判する人もいる。それは、何も今に始まったことではないようで、太宰治の短編『家庭の幸福』の出だしはこんなである。


《「官僚が悪い」という言葉は、所謂「清く明るくほがらかに」などという言葉と同様に、いかにも間が抜けて陳腐で、馬鹿らしくさえ感ぜられて……》


そう言っていた「私」だが、ラジオ放送で官僚の厚顔無恥な物言いに激怒。しかし、そこから想像を膨らまして、役人側の背景に迫ると、またその怒りは沈んでいく。そして、官僚が杓子定規で融通の利かない態度をとるのは、単に彼が「家族が待つ家に早く帰りたいから」かもしれないと想いを馳せる。

いや、官僚だけではない。すべての官僚的な気風は、家庭のエゴイズムから来ているのではないかと、この作品は訴えかける。つまり、何か大きな力が働いているわけでもなければ、何か都合の悪いものを隠しているわけでもない。ただ、官僚が家に早く帰りたいからではないか、そして、それは誰の気持ちにでもあるのではないか、という太宰の筆は実に鋭い。


そして、こう結論付けるのだ。



「家庭の幸福は諸悪の本」


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そういえば、「既得権益にメスを入れろ」という声はあちこちで上がるが、「オレの既得権益にメスを入れてくれ」という声は聞いたことがない。これも各人の家庭を守るためのエゴイズムから来ていることが多いのではなかろうか。


ちなみに、『家庭の幸福』は『ヴィヨンの妻』(新潮文庫)に収蔵されております。面白いですよ。



ヴィヨンの妻 (新潮文庫)ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
(1950/12/22)
太宰 治

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人生を真面目に生きているか

「真面目とはね、君、
真剣勝負の意味だよ」



(夏目漱石「虞美人草」)

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あなたはマジメだよね、と言われて、
100%ポジティブに捉えられる人は少ないのではないか。
むしろ、どこか小ばかにされた印象を持つかもしれない。
融通の利かない堅物のような性格を想像する「真面目」。
若い頃は特に、あまり言われたくない言葉だと思う。

しかし、おぼつかないながらも社会にでて暮らしていくうちに、
真面目であるということは、人生で結構、大切なことなのでは
ないかなあと思うようになった。


自分のやってきたことを振り返っても、不恰好でも真面目に打ち込んだことは今につながっている。
逆に、なんとなく真面目にやれなかったことは、振り返ってももったいなかったなと思う。


人生は、真剣勝負だ。
まじめでいいんだ。
いや、まじめがいいんだ。


「あなたは
 はらの底から真面目ですか」


(夏目漱石「こころ」)


虞美人草 (新潮文庫)虞美人草 (新潮文庫)
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こころ (集英社文庫)こころ (集英社文庫)
(1991/02/25)
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ドラマ『僕のいた時間』を観てしまっているのだ

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「目標を見つける事が
 俺の目標みたいだな」

――ドラマ『僕のいた時間』より


拙著『不安な心をしずめる名言』では、ドラマや映画からの名言も取り上げている。ここでも、たまには偉人以外の言葉から。

なんだかこうして言葉だけ取り上げると、とんだ自分探し野郎の言葉みたいだけど、そうではなくて、ALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行していくなか、それでも主人公は笑顔を忘れず、自分のできること、身体が動く範囲での目標を見つけて、それに向かって努力していく。また症状が悪化して、それができなくなると、新たな目標を見つけて、それに向かっていく……という意味合いで、出てきた言葉。

「あれもできない」「これもできない」と思うと絶望的な気持ちになるけれども、「あれもできる」「まだこれもできる」と考えることで生きる活力が沸いてくる。これは何も難病患者に限ったことではないだろう。前向きになれる言葉だ。

きちんと正座して観ているわけではないんだけど、なんとなくながら観しているうちに、結局観てしまっているこのドラマ。難病ドラマなんて展開読めるなあ、と思いながらも、先が気になるのは物語の運び方がうまいのではないかと。

ざざざと説明すると、突如、ALS患者となった拓人(三浦春馬)は、恋人の恵(多部未華子)に別れを告げる。難病であることを隠して……。いきなりフラられた恵は、拓人の先輩からの猛烈アプローチに陥落して、付き合い始めて、しまいにはプロポーズまでされるわけだけど、ここで拓人が実はALSに侵されていたことを知るわけです、そう、知ってしまうわけなんですね。

コレなんで知るかというと、恵は就職試験がなかなか決まらず、訪問看護の仕事をし始めて、受け持ちの患者にALS患者がいたと。そのALS患者と拓人がつながるわけなんですねえ。分かりますでしょうか、この説明で。

ワタクシが言いたいのは、この恵が拓人の病気に気づくシチュエーションがね、実に素晴らしいと思うのであります。右手しか動かなくなった拓人はそれでもなんとか今できることを、と電動車いすサッカーの練習に励むわけです。そんなある日、恵が担当しているALS患者が「観にいきたい」といったまさにその場所が、電動車いすサッカーの会場であり、そこで2人は再会するのですなあ。

素晴らしいのは、拓人も恵も、人生に絶望しなかったからこそ、再会できたということ。

もし拓人が難病に打ちひしがれて部屋にこもっていれば、電動車いすサッカーなんてすることもなく、恵と再会することはなかったでしょう。また恵も、さんざんな結果に終わった就職活動に、いきなりの恋人との別れというダブルパンチでやさぐれていたならば、訪問介護という目標を見つけることもなく、拓人に再会することはなかったでしょう。二人が前向きに生きた結果の一つが、この真実を知る再会へとつながったのであります。

とはいえ、この再会で、恵が「えー、なによ~。難病になったから別れようと言ったんだー!ちゃんと言ってよー!」と言って、拓人が「おーすまんすまん、なんか気を遣わせるのもあれかなと思ってさー、やり直そうぜ!」とすんなりいくわけもなく(当たり前だ)、これからまた紆余曲折あるわけで、また来週も観てしまいそう。

現実逃避はこのあたりにして原稿書きに戻りたいと思います、ええ、戻りますとも・・・(ドラマのあらすじの説明って難しいなあ)。


「走れメロス」じゃなくて「走れよメロス」だった!?

以前、こんなブログ記事を書いた。

自由研究はまだ間に合う!『目でみることば』をパクろう
http://mayamatomoyuki.blog84.fc2.com/blog-entry-192.html



自由研究で苦しんでいる人がいたら、「理科系」にこだわらず、「文科系」の線も考えてみてね……と締めたのだが、太宰治の「走れメロス」が実は走っていなかった、という自由研究が!文芸作品を算数で斬る、という発想がお見事です。

「走れメロス」は走っていなかった!? 中学生が「メロスの全力を検証」した結果が見事に徒歩
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140206-00000042-it_nlab-sci



村田一真くんに本を企画させたら、面白いのを作りそう。新書のタイトルとかになりそうじゃない。「『走れメロス』というタイトルは、『走れよメロス』のほうが合っているなと思いました」というコメントも光ってるぞ。末恐ろしき、中学2年生。


こんなに走らせてる、装丁もあるのに……。


走れメロス (ハルキ文庫 た 21-2 280円文庫)走れメロス (ハルキ文庫 た 21-2 280円文庫)
(2012/04/15)
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プロフィール

真山知幸

Author:真山知幸
真山知幸。執筆業。著書に『大富豪破天荒伝説』(東京書籍)、『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(星海社新書)、『天才100の名言』『不安な心をしずめる名言』(PHP研究所)、監修に『恋する文豪』(東京書籍)など。他の筆名含めて著作は計23冊(うち監修2冊)。名古屋外国語大学で現代国際学特殊講義など。
【メール】
mayama.tomoyuki(at)gmail.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい

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