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編集者と企画会議を乗り越えるべし

編集者との打ち合わせは、平日のランチタイムか、夜20時以降に設定させてもらっている。そうなると、やはり初対面の場合、昼を選択されることがほとんどで、今日の昼も新しい編集者の方と打ち合わせしつつ、食事をば。「あ、これやりたい」とすぐに思える企画で、会議を通るといいなあ、と思う。


どうやって単行本の仕事が来るのか、と聞かれることがある。知己の編集者3~4人とは定期的に、プライベートも含めて会っているので、「次何やりますかねえ」という話にいつの間にかなる。酒を飲んでいてもなるし、皇居を走っていてもなる。そして、そのなかのいくつかは実現する。ダメなものも多いが、数年後に復活することもある。

そうではなく、新しい版元の編集者との仕事の場合は、ある日、突然メールが来る。結構、長いのが来る。そして一度会いましょう、ということになり、冒頭に書いたごとく、昼か夜に喫茶店なりでお話をするという流れになるのだ。

知己の編集者の場合も、初対面の編集者の場合も、企画を通さねばならないという点では、共通している。編集者から話が来たからといって「わーい!」となるのはまだ全然早くて、ここから編集者と頭をひねりながら、サンプル原稿や章出しをしながら、企画会議に備えるわけである。

当然、企画会議に書き手は出席できない。編集者にすべてを託すのである。話を持ってきた編集者の人はもちろん、当方と仕事をしたいという思いで接してくれるのであるが、会議では「え、真山って誰よ?」「もっと売れてるやつに書かせなあかんやろ」という声も当然上がるわけであり、それにがんばって答えてもらわなければならないわけですね。いや、これは大変だと思う。本当にありがたいことです。

書き手のなかには「企画会議が通っているもののみ、話を聞きます」というスタンスの方もいるようだ。当然、売れっ子である。忙しいがゆえに、通るかわからんような、企画に時間を割く暇はない、ということなんだろうけど、この企画会議を乗り越えるのが、意外と面白くて、また通ったときの喜びがあったりするんだけどね。結構、今までやった本も、企画が通った連絡は心に残っているものだ。ダメならダメで悔しいものだが、そこから次の企画につながることもある。悪くない、共有体験だと思う。

しかし、過去に一回、編集者が企画を持ってきて「どうですか?」と言われ、「おお、やりましょうとも!企画会議通るといいですね」というと、「実はもう通っています」という何ともイケメンな展開もあり、編集者との打ち合わせはいつも刺激的なのであった。

ちなみに、はじめましての1回で会って以来、企画が通らず、それ以後、会ってないということもままあるので、意外とたくさんの編集者と会っているような気がする。みなさんお元気かな。今日お会いした方とは、また再会できますように……。


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倍返しできない人のための『ようこそ、わが家へ』(池井戸潤)

原作ファンとしては「半沢直樹」のヒットは嬉しい限り。ドラマしか観てない人は、ぜひ2作とも読んでほしいなあ。ドラマに負けないくらいスッとします。今は再び読み返しているんだけど、もはやドラマのキャスティング通りの顔しか思い浮かばない。ミッチー演じる渡真利忍は、いい味出してたなあ。


オレたちバブル入行組 (文春文庫)



オレたち花のバブル組 (文春文庫)


しかし、なかなか半沢直樹のように自分に正直に生きるのは難しいところ。実際は押しの強い人間にいいように言いくるめられたり、上司に押さえ込まれることも少なくないだろう。だからこそ、半沢のドラマがヒットしたのだろうけど、現実に即した主人公が活躍するのが、同じ作者の『ようこそ、わが家』へ。


ようこそ、わが家へ (小学館文庫)


倉田太一はまじめだけがとりえの会社員。無難に生きることを第一としていたが、ある朝、突発的に駅のホームで割り込んできた人に注意した。彼のなかの「半沢直樹」的な要素が瞬時に爆発したわけだが、そのせいで、自分の家に嫌がらせが相次ぎ大変なことになってしまう。同時に、出向先の職場でも、アクの強い営業部長の不正に気づいてしまい、勝気な女性部下とともに、戦うことに……。

半沢とは違い、倍返しどころか、やられっぱなしの倉田。くじけそうになりながらも、ギリギリのところでファイティングポーズを保つ姿には「自分もやらねば!」と奮起させてくれる。2つストーリが交差して、ぐいぐい最後まで引っ張ってくれる文庫オリジナル長編作品だ。






ドラマ化希望の上京漫画『トーキョー無職日記』『トーキョー自立日記』(トリバタケ ハルノブ)


トーキョー無職日記



タイトルから暗い漫画を想像するかもしれない。主人公のハルオは、23歳の無職。大学からドロップアウトして、半ば強引に上京してみたところで、何も状況は変わらないというところから物語は始まる。

こう書くと、確かに暗そうだ。しかし、この漫画はホームレスの姿に自分を重ねるほどの暗闇にいたハルオが、インターネットを通じての出会いで、東京での居場所を見つけ、かつての夢だった漫画家、イラストレーターの道へと邁進していくという、いたって前向きな展開だ。

「人は一人では何も出来ない」ということ。人とのつながりによって、ハルオを取り巻く状況がどんどん変わっていくところが、リアルであり、同じ上京組として、とても共感できた。

だけど「結局、最後は自分次第」ということも、この作品ではよく描かれている。ハルオは人との出会いによって、成長するきっかけやチャレンジする環境を手に入れていく。しかし、そこから「やっぱり自分には無理だ」と徹底するのも自分だし、奮起して身の程知らずな目標に向かって邁進するのもまた自分である。後者でありたいのは当然だが、現実的には、前者のようにへこたれてしまうほうが圧倒的に多いように思う。でも、やっぱり自分の中で諦められないものが、進むべき道なのだろう。

この漫画を読んだ読者には「ハルオが順調すぎる」という声もあるようだ。実際、友人にもそういう感想はあった。「ハルオはなんだかんだで明るくて人付き合いがうまいから、ちょっと……」。でもどうだろうな。結構ハルオは、うじうじ、一進一退して奮闘しているように思ったけど。そのあたりは人によって受け止め方が変わるところかもしれない。でも僕は、この作者の「そんなに悪いことばかりではない」という世の中の描き方はとても好きだ。



トーキョー自立日記


続編の「トーキョー自立日記」。こちらは、ハルオの恋愛話も入ってきて、バイトと夢の両立もはかどってきていて、無職日記より明るいように、一読すると思うかもしれない。でも、僕は意外と、無職日記よりも自立日記のようが、重い作品のように思った。前作は停滞しているようでだんだんと状況が上向く話。続編はどんどん状況が好転しているようで、結局は大きく状況は変わらない話、といえばざっくりしすぎであろうか。でも、そのなかでも希望があって、ハルオは少しずつ、自分のことを好きになり、人生を前進させていく。そして、ささやかなハッピーエンド。最後まで自分好みの作品だった。

とグダグダ書いたが、4コマの連作で、気軽に楽しく読める作品だ。自立日記のハルオの恋愛のところは、最高です。しょっぱくて、すばらしいんです。ハルオが好きな女の子には彼氏がいて、その彼氏がどんなやつか、彼女の友達に探りを入れるシーン。


20130902_000953.jpg


そ、そら、こんな顔にもなる!その後、ハルオは「巨人の4番とつきあっていると言われたようなものだ」という名言を吐きながら、ヨロヨロと家に帰ります。ハルオの恋はどうなるのか? ここ、一番好きかもしれない(冒頭でいろいろ論じていたのは何だったんだ)。

これは、ドラマ化するといいと思うんだけどなあ。
主題歌はELTの「ソラアイ」がぴったりだな。古いか。


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移り変わってゆく季節があって
僕も少しは変われたかな

何かを見つけられたかな
この空のむこうにある光のように

晴れるわけでもない空を
それでも僕は今日を期待して生きてみる

(Every Little Thing「ソラアイ」)
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著作一覧
プロフィール

真山知幸

Author:真山知幸
真山知幸。執筆業。著書に『大富豪破天荒伝説』(東京書籍)、『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(星海社新書)、『天才100の名言』『不安な心をしずめる名言』(PHP研究所)、監修に『恋する文豪』(東京書籍)など。他の筆名含めて著作は計23冊(うち監修2冊)。名古屋外国語大学で現代国際学特殊講義など。
【メール】
mayama.tomoyuki(at)gmail.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい

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