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あらゆる仕事は「つぼみ」である ―柳田國男の『海南小記』―

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序文をどう書くか。
口火を切るのに、逡巡のない書き手は少ないだろう。
僕も序文には、毎回のことながら、心を砕くことになる。

たとえば、柳田國男はこんなふうに序文を始めた。

「ジュネヴの冬は寂しかった」

『雪国の春』と並んで、
柳田國男の名紀行文として知られる『海南小記』の書き出しだ。
『海南小記』は、柳田が南九州・沖縄へ旅したときの紀行文である。



海南小記 (角川ソフィア文庫)


その序文では、異国地から来て、
日本の民族について深く研究した
チェンバレン教授について書かれている。
すでに第一線から退いたチャンバレンは
ジュネーブで静かに隠居生活を送っていたのだが、
柳田もまたジュネーブに出張中であった。
本書が「ジュネヴの冬は寂しかった」と
始まるのはそのためだ。

柳田は自分の今回の執筆について、
序文でこんなふうに表現している。
 
「事業は微小なりといえども、
 やがて咲き香う(におう)べきものの蕾(つぼみ)である。
 歌い舞うべきものの卵である」

 
だからこそだろう、
この序文は、静かな筆致ながらも、
柳田の並々ならぬ意欲を感じさせるものになっている。

あらゆる微小な事業は、蕾であり、卵である。
花が咲き、鳥が舞う、その日まで、
慌てずにじっくりと取り組んでいけばよい。



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真山知幸

Author:真山知幸
真山知幸。執筆業。著書に『大富豪破天荒伝説』(東京書籍)、『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(星海社新書)、『天才100の名言』『不安な心をしずめる名言』(PHP研究所)、監修に『恋する文豪』(東京書籍)など。他の筆名含めて著作は計23冊(うち監修2冊)。名古屋外国語大学で現代国際学特殊講義など。
【メール】
mayama.tomoyuki(at)gmail.com
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